主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は、日本時間の30日夜に閉幕した。最大の成果が、初めて合意した石炭火力廃止の年限だ。解釈の余地は残しつつも、廃止への圧力は強まる一方だ。日本政府は強気の姿勢を崩さないが、G7の中では孤立しつつある。
- 石炭火力「35年までに廃止」 G7環境相会合、解釈には余地残す
会議の共同声明では、年限を「2030年代前半あるいは産業革命前からの気温上昇を1.5度までに抑えられる時間軸」とした。石炭火力の規制や廃止をめぐる議論は気候変動対策の国際交渉では「主要テーマ」の一つで、これまでも激しい駆け引きが続いてきた。
2021年に英国グラスゴーであった国連気候変動会議(COP26)では初めて「対策がない石炭火力の段階的削減」という文言が、合意文書に入った。翌22年のドイツでのG7サミットでは表現が「対策のない石炭火力の段階的廃止の加速」と、表現が強まった。
これ以降、英国などからは廃止の年限目標を入れるべきだという声が強まり、昨年日本であったG7サミットでも議論された。ただ、G7の中では石炭への依存度が高い日本などが消極的で、文言は「段階的廃止」から変わらなかった。
それが、今回の共同声明で、ついに石炭の年限目標が入った。今後も廃止に向けた圧力がかかり続けることは避けられそうにない。
年限については、各国が折り合いやすいように、「1.5度までに抑えられる時間軸」という各国で解釈できる余地のある表現も残したが、その余地は限定的だ。国際エネルギー機関(IEA)は1.5度目標の達成には、先進国は30年代までに石炭火力の廃止が必要だとしている。
また、廃止対象は近年ずっと「排出削減対策のない」施設に限られているが、こちらもある程度の目安がある。定義について、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は「発電所から排出されるCO2の90%以上を回収するなどの対策がないもの」としている。IEAは「炭素の回収、利用、貯蔵(CCUS)をしないもの」とする。
日本政府はこれまで、「対策がない」の解釈がG7やCOPの共同声明でまとまっていないことから「国際的に決まった定義はない」と説明。今回の会合の閉幕後、経済産業省の担当者は、石炭とアンモニアを混焼し、排出削減を目指す技術や、発電効率を高めて排出を減らす「高効率石炭火力」などが「対策済み」にあたると改めて強調した。
G7で深まる孤立 他国に広がりも
ただ、年々厳しさを増す石炭火力への圧力に、これまで日本と近かった米国でさえ、対応を変え始めた。
米国は、昨年ドバイであった…